一般小児外科

小児外科疾患とは

小児期に発症する外科的治療を必要とする病気には、鼠径ヘルニア、虫垂炎、臍ヘルニアなど、比較的よくみられる疾患があります。

こどもは成長・発達の途中にあるため、年齢や体格、病気の状態に応じて、経過観察や薬物治療、手術など適切な治療法を選択します。

当科で診療している疾患の例

下記に含まれていなくても診療しています

鼠径ヘルニア
(Inguinal hernia)
腹腔内臓器が、鼠径部に残った通り道を通って脱出する病気です。鼠径部や陰嚢・陰唇のふくらみとして気づかれます。自然治癒は期待しにくく、嵌頓を起こすことがあるため、原則として手術を行います。
陰嚢水腫・ヌック管水腫
(Hydrocele, Hydrocele of the canal of Nuck)
腹腔内と陰嚢、または鼠径部との間に残った通り道に液体がたまり、ふくらみを生じる病気です。1-2歳を超えて症状が残る場合や交通性が疑われる場合には手術を検討します。
臍ヘルニア
(Umbilical hernia)
臍の部分の筋膜が閉じきらず、泣いたりいきんだりしたときに腸管などが脱出する病気です。多くは成長とともに自然に閉鎖しますが、残存する場合や形態が問題となる場合には手術を検討します。
停留精巣
(Undescended testis, Cryptorchidism)
本来は陰嚢内におさまるべき精巣が、陰嚢の外にとどまってしまう病気です。生後3-6か月ほど経っても改善がなければ、将来の精巣機能や腫瘍発生リスクなどを考慮して、精巣固定術を行います。
正中頸嚢胞
(Thyroglossal duct cyst, Thyroglossal cyst)
舌と甲状腺の発生に関係する「甲状舌管」が出生後も残ることで生じる頸部の嚢胞です。感染や腫脹を繰り返すことがあり、根治には嚢胞と瘻管を含めた切除術を行います。
舌小帯短縮症
(Ankyloglossia, Tongue-tie)
舌の裏側にある舌小帯が短く、舌の動きが制限される状態です。哺乳や発音などへの影響を評価し、必要に応じて小帯切開・形成術を行います。
上唇小帯短縮症
(Upper labial frenulum tie, Lip-tie)
上唇の内側と歯肉をつなぐ上唇小帯が強く付着している状態です。多くは経過観察が可能ですが、歯列への影響などを考慮して必要に応じて治療します。
側頸瘻
(Branchial cleft fistula, Lateral cervical fistula)
胎生期の鰓弓・鰓溝の発生異常によって生じる頸部の先天性瘻孔です。感染を繰り返すことがあり、根治を目的として瘻管を摘出する手術を行います。
耳前瘻孔
(Preauricular fistula, Preauricular sinus)
耳の前方に生じる小さな開口部で、胎生期の耳介形成異常による先天性疾患です。感染を繰り返す場合には、瘻管を含めた摘出術が検討されます。
急性虫垂炎
(Acute appendicitis)
虫垂に炎症が起こり、腹痛や発熱、嘔吐などを生じる病気です。炎症の程度によって、抗菌薬による保存的治療や虫垂切除術などを選択します。
肥厚性幽門狭窄症
(Hypertrophic pyloric stenosis)
胃の出口にあたる幽門の筋肉が厚くなり、ミルクが十二指腸へ流れにくくなる病気です。勢いよく吐く症状を繰り返すことが特徴です。超音波検査で診断し、内科的もしくは外科的治療を選択します。
腸重積症
(Intussusception)
腸管の一部が連続する腸管の中に入り込むことで、腸閉塞や血流障害を起こす病気です。腹痛を繰り返す、嘔吐、血便などを認めることがあります。超音波検査によって診断を行い、整復困難例や血流障害が疑われる症例には速やかに手術対応しています。
胃食道逆流
(Gastroesophageal reflux; GER)
胃の内容物が食道へ逆流する状態で、乳児期には生理的にみられることもあります。多くは成長とともに改善しますが、体重増加不良や誤嚥、呼吸器症状などを伴う場合には詳しい評価と治療が必要です。

当院での診療

当院では、小児外科疾患に対して、年齢や体格、病気の状態に応じて治療方針を決定しています。
手術が必要な場合には、従来の手術に加えて腹腔鏡手術などの低侵襲手術も積極的に取り入れています。また、小児科、泌尿器科、放射線科など関連診療科と連携し、こどもの成長や将来への影響も考慮しながら診療を行っています。

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監修:慶應義塾大学医学部小児外科 助教 出口 晴教