相談窓口

小児腸管不全相談窓口

慶應大学病院では、腸管不全に対する根治的治療を目指しております。

慶應義塾大学病院では、手術によって腸が大量に切除されてしまった方、腸の動きが悪いために人工肛門が必要な方、点滴ルートからの感染症でお困りの方や点滴ルート閉塞の問題がある方、手術や病気の合併症による腸管皮膚瘻(ろう)でお困りの方、点滴栄養によって肝臓の機能に問題のある方、小腸移植を希望される方、子どもから大人まで積極的に受け入れております。当院の特徴として、外科治療・新規の薬物治療を含む内科治療・内視鏡治療・栄養療法・社会的サポートを包括的に提供する体制が整っておりますので、お気軽にご連絡ください。


小児腸管不全相談窓口

腸管不全とは?

腸管不全とは、腸が消化や吸収ができなくなった状態を指し、大きく以下のように分類されます。

  • 短腸症候群:血流不全・感染・外傷・腫瘍などの病態によって小腸の大部分が外科的に切除された状態(中腸軸捻転・腹壁破裂・外傷・壊死性腸炎・腸閉鎖・腫瘍・その他)
  • 運動機能障害:小腸の壁にある筋肉を効果的に動かすことができないために食べ物を効率よく運ぶことができない状態(ヒルシュスプルング病・ヒルシュスプルング病類縁疾患・慢性特発性偽性腸閉塞・その他)
  • 消化・吸収障害:腸管が存在するにもかかわらず、水分や栄養素を十分に吸収できない状態(クローン病、微絨毛封入体病、難治性下痢)腸から栄養が摂取できない人には、静脈からの栄養摂取により生存が可能となりましたが、長期にわたると敗血症や肝障害などの危険があるばかりでなく、静脈からの血管確保が難しくなり、静脈栄養を継続することが出来なくなります。また人間の生きる楽しみの一つである食事を十分にとることが出来ません。 慶應病院では、長期にわたる静脈栄養を必要とする腸管不全患者さんに栄養・外科的管理・感染症対策・根治的治療である小腸移植までを含む包括的な腸管リハビリテーション医療を提供しております。

腸内リハビリテーション


慶応義塾大学病院における腸内リハビリテーション医療体制

小腸移植について

小腸移植とは、障害を受けた小腸或いは疾患のある小腸を摘出し、提供された健康な小腸に置き換える根治的治療になります。腸管不全患者さんの中で、静脈栄養が継続困難な方や致死的な血流感染症をしばしば起こす方、著しいQOLの低下(長期間の入院、腹痛、嘔吐、社会生活の制限など)を満たす方には小腸移植が検討されます。移植が成功すると、中心静脈栄養が不要となり、食事制限や水分制限もなくなることが期待されます。十分に機能した小腸によって今よりも健康な状態を手に入れることが可能になります。
小腸移植には、脳死体ドナーからと生体ドナーからの二種類の移植があります。小腸移植は、これまでに全世界において約4000人の患者に対して行われています。そのほとんどは脳死体ドナーより提供を受けています。本邦では2018年12月までに27例に対して30回の小腸移植が施行されています。うち、生体小腸移植は13回、脳死小腸移植は17回行われています。小腸移植術後にはタクロリムスとステロイドを中心とする多剤併用免疫抑制療法が必要となります。本邦における移植成績は欧米の成績よりすぐれていますが、1年生存率89%、5年生存率72%、10年生存率54%となっております。(2018年12月の時点)


腸内リハビリテーション


小腸移植は他の臓器移植に比べて拒絶反応がおこりやすく、移植後は頻回の内視鏡検査、グラフトの組織検査を行い、拒絶反応のモニタリングが必要です。小腸移植術後は1−2ヶ月の入院期間が必要です。移植後2~3年で経過良好と判断されると、人工肛門が閉鎖されます。移植手術によって、食事の制限がなくなり、高カロリー輸液が不要となると、生活の質は格段に上がります。免疫抑制剤の内服は一生涯必要ですが、感染症や拒絶反応などに留意しつつ、ほぼ通常の社会生活ができるようになります。

当院では、現在多くの小腸移植を受けられた患者さんをフォローしておりますが、小腸移植後に安定した生活が送れるように、拒絶反応を早期に発見する研究や拒絶反応のメカニズムを明らかにする研究を行なっております。
腸管不全治療や小腸移植などに関して分からないこと、心配なこと、もっと詳しく聞きたい事などありましたら、下記のメールアドレスにてご相談ください。

連絡先:慶應義塾大学病院 小児外科
pediatric-surgery-group@keio.jp

以下のような問題でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

【先天性の症状について】
  • 生まれつき腸の動きが悪いと言われ、人工肛門があります。口から食べられる量はわずかで、お尻からなかなか便が出ません。
  • 生まれつき、あるいは生まれてすぐの手術で腸がとても短くなってしまい、毎日点滴が必要な状態です。
  • 生まれつき腸の吸収が悪いので下痢がひどく、点滴が手放せない状況です。
【術後の症状について】
  • 手術で小腸の大部分を切除されてしまいました。口から食べることはできますが、腸が短くなってしまったために毎日点滴が必要です。
【術後合併症について】
  • 手術の合併症で腸管皮膚瘻(=腸液がお腹から染み出してくる状態)に苦しんでいます。
【中心静脈カテーテル関連トラブル】
  • 点滴の部位から頻回に細菌が入り込んで熱を出します。
  • 点滴を入れる血管が詰まってしまって困っています。
【静脈栄養に関連するトラブル】
  • 点滴の栄養が原因で、肝臓が悪くなっていると言われました。
  • 静脈栄養を続けていますが、成長・発育が遅れていて心配です。
【移植について】
  • 腸の移植の話を聞いてみたいです。
【新規治療について】
  • 短腸症候群に対する新しい治療の話を聞いてみたいです。

小児腸管不全相談窓口

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