相談窓口

小児肝臓移植相談窓口

スタッフ

慶應義塾大学臓器移植センター(https://www.hosp.keio.ac.jp/annai/shinryo/organ-transplantation-center/)では、子どもから大人まで肝臓移植が必要な患者さんに最新治療を包括的に提供する体制を整えております。胆道閉鎖症・原発性硬化性胆管炎・肝芽腫・Wilson病・自己免疫性肝炎・劇症肝炎・代謝性疾患などを対象に肝臓移植をおこなっており、治療でお困りのお子さんから成人の方まで、多くの患者さんの治療にあたっています。これまで350例以上の生体・脳死肝臓移植を行なっており、慶應義塾大学病院での小児肝移植では5年生存率は92.4%(胆道閉鎖症などの胆汁鬱滞性疾患では5年生存率96.3%)であり、全国平均の87.7%と比べても成績が良好です。肝臓移植に関して分からないことや心配なこと、もっと詳しく聞きたい事などありましたら、下記のメールアドレスにてご相談ください。


小児肝臓移植相談窓口

【 肝移植数 】
肝移植数


【 慶應義塾大学病院における肝臓移植チーム医療 】
慶應義塾大学病院における肝臓移植移植チーム医療

肝臓移植とは?

肝臓移植とは、障害を受けた肝臓或いは疾患のある肝臓を摘出し、提供された健康な肝臓と置き替えることです。 小児においては胆道閉鎖症などで肝臓の状態が悪化して肝硬変・肝不全となった場合や先天性の代謝異常疾患、自己免疫性疾患、切除不能肝芽腫などに対しては治療の一つの選択肢として行われます。

日本肝移植学会の報告によれば、本邦では2020年末までに10,418例の肝臓移植(生体肝移植9760例、脳死移植658例、心停止移植3例)が行われています。18歳未満の小児肝移植は3493例でした。現在本邦では、年間100例程度の小児肝移植が施行されています。

日本では小児の肝臓移植は生体肝移植がほとんどであり、一般的にドナー(提供者)はご両親のいずれかであることが多く、健康状態や肝臓の状態など十分な検査を行った後に、肝臓の一部(患児のからだに応じて切除範囲は異なります)が移植されます。2010年の改正臓器移植法の施行後、脳死臓器提供数も徐々に増加してきており、さらには小児優先ルールの適応もあり、今後は小児においても脳死肝臓移植が増えてくるものと考えられます。

肝臓移植の準備

肝臓移植の準備

レシピエントとドナーとも専門のコーディネーターが準備を丁寧にサポートいたします。緊急時では1週間以内で準備を整えることもありますが、通常は余裕を持って1ヶ月程度かけて精査を進めます。

手術方法

小児肝移植では主に肝臓の左側の一部が使用されます。肝臓を受け取る人(=レシピエント)と肝臓を提供する人(=ドナー)の肝臓の体積に応じて移植する肝臓の種類を決定いたします。たとえば、特に体の小さな乳児では肝臓全体の約1/4-1/5程度である外側区域が選択されます。下の図の黒のラインに沿って、肝臓が切離されることが一般的です。当院ではドナーの方への侵襲を最小限にする試みで、腹腔鏡を用いたグラフト採取術を取り入れております。ドナー手術の詳細はこちらをご覧ください(https://www.keio-hpbts.jp/disease/solid-organ-transplantation/01.html)。


グラフト採取術
*体の小さな乳児の方は左図の赤の部分が選択されます


ドナーの方から取り出された肝臓は、肝臓を受け取る側=レシピエントに移されて、肝臓の出口の血管=肝静脈、肝臓の入口の血管=門脈と肝動脈、最後に胆汁の通り道である胆管をつなぎ合わせることで完成いたします。


摘出された肝臓 移植された肝臓
*摘出された肝臓(左上)と移植された肝臓(右上)

手術後経過

個人差はありますが、手術後1-2週間は集中治療管理、その後一般病棟で約1-2ヶ月の入院期間が必要になります。退院後初期は、1−2週間間隔で通院していただきますが、徐々に間隔を伸ばすことが可能で、術後1年以降は1−3ヶ月間隔の通院で、ほぼ通常の生活ができるようになります。


治療後経過
*術後1−2週間入室する集中治療室(左上)とその後1ヶ月程度入院する一般病棟(右上)


肝移植の成績は年々向上してきており、慶應義塾大学での小児肝移植では5年生存率は92.4%(胆道閉鎖症などの胆汁うっ滞性疾患では5年生存率96.3%)であり、全国平均の87.7%と比べても成績が良好です。


【 小児肝移植の成績 】
小児肝移植の成績

成績を左右する主な要因は、手術前の体の状態、他人の臓器が移植されることにより引き起こされる拒絶反応と拒絶反応予防のために使用する免疫抑制剤の影響で体の抵抗力が落ちることによる細菌や真菌、ウイルスなどの感染症です。術後の拒絶反応予防に使用する免疫抑制剤は原則として一生飲み続ける必要があり、採血による肝機能のチェックや免疫抑制剤の量の調節などを外来通院で継続的に行っていきます。慶應義塾大学病院臓器移植センターの取り組みの特徴は、定期的に肝臓の組織検査を行って、採血だけでは判別できない肝組織線維化の検出、抗ドナー抗体(提供された肝臓への攻撃因子)の詳細な解析、新規バイオマーカーを用いた免疫抑制剤最適化の研究など、長期の成績維持に力を入れていることです。 また、幼少期に移植を受けられて成人になられた方、他施設で移植を受けられた方のフォローも積極的に受け入れております。

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