基礎研究

基礎研究は細胞や実験動物を用いたり、臨床研究として得られた検体を用いて疾患の機序や診断、治療法の開発を目指す研究です。慶應小児外科の基礎研究は小児腫瘍、腸管不全、リンパ管疾患、小児移植を4つの柱とし、基礎の研究室と連携をしながら、研究を進めています。近年、基礎研究の領域でますます進む専門性の中で、それぞれの分野での専門性やノウハウを生かし、お互いに情報共有をしながら小児外科教室ならではの領域横断的な基礎研究を目指しています。


現在進行中の主な基礎研究テーマ

慶應小児外科では、入局後卒後5年目から各人の希望にもとづいた研究テーマが選択可能で、基礎の研究室との連携の中で単に学位取得を目指すだけではない、臨床における問題の解決にそった先端的な研究が行われています。
大学院進学を希望する場合は臨床の研修と並行して卒後5年目から大学院へ進学可能であり、慶應義塾大学医学部の基礎の研究室で小児外科に関連したテーマについて最先端の基礎研究を学ぶことができます。慶應小児外科では独自の研究室(P1,P2)を有し、動物実験も含む高度な基礎研究を行っています。
また、米国マサチューセッツ総合病院小児外科研究室との交流も盛んであり、米国での最先端の研究を学んだ指導医が研究指導に当たっています。

小児固形腫瘍における癌幹細胞の同定・治療に関する研究

小児固形腫瘍における癌幹細胞の同定・治療に関する研究

肝芽腫の性質を生かした新規薬物治療に関する研究

肝芽腫の性質を生かした新規薬物治療に関する研究

神経堤幹細胞を用いた腸管神経再生に関する研究

神経堤幹細胞を用いた腸管神経再生に関する研究

腸管神経可視化に関する研究

腸管神経可視化に関する研究

肝臓移植・小腸移植リキッドバイオプシー(cell free DNA)の開発

肝臓移植・小腸移植リキッドバイオプシー(cell free DNA)の開発


こちらは、拒絶反応診断における正確性と侵襲度を表すイラストになります。 血液マーカーのない臓器移植の場合(心臓・肺・小腸)、拒絶反応の検出には、侵襲の大きいカテーテル検査・気管支鏡・内視鏡下生検・経皮的針生検が必要であり、このイラストで右下に位置しますが、出血などの合併症・サンプリングエラー・医療費増加などの問題点が存在いたします。ドナー由来cell free DNAはこのイラストの右上に位置しますが、この検査に期待されるところは、高い正確性を持ちながらも低侵襲であることになります。
また血液マーカーが存在する臓器移植の場合でも、従来のマーカーよりも早期に、より高い正確性を持って検出が可能となることが期待され、ドナー由来cell free DNAの測定は優位性が存在すると考えております。


肝臓移植・小腸移植リキッドバイオプシー(cell free DNA)の開発


こちらは血液中のcell free DNAの動向を模式図化したものですが、グラフトの安定期はドナー由来のcell free DNAの割合は低いものとなりますが、グラフトが、拒絶反応などで障害を受けるとその割合が上昇することになります。この図より、指標となるのは、血液中に存在するトータルのcell free DNAに占めるドナー由来のcell free DNAの割合となります。

小腸移植患者における小腸上皮シングルセル免疫プロファイルによる拒絶反応メカニズムの解析

移植小腸から経時的に腸管粘膜組織を入手し、腸管上皮細胞・免疫細胞を網羅的に次世代シーケンサーで1細胞レベルでの遺伝子発現解析を消化器内科のグループと共同で行なっています。時空間的、経時的、一つ一つの細胞由来を把握することで、小腸移植後の免疫細胞、上皮細胞のダイナミクス、移植を成功させるために重要な因子の抽出を行うことを計画しております。


小腸移植患者における小腸上皮シングルセル免疫プロファイルによる拒絶反応メカニズムの解析

小児リンパ管疾患の組織細胞生物学的検討

小児リンパ管疾患の組織細胞生物学的検討

リンパ管疾患モデル動物の作成

リンパ管疾患モデル動物の作成

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